大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和37年(オ)1148号 判決 1964年4月07日

上告人

菅原利雄

上告人

菅原すずよ

被上告人

株式会社徳陽相互銀行

右代表者代表取締役

早坂順一郎

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告人らの上告理由第一点について。

被上告人は、本訴においては貸金返還と手形金支払の両請求を併合して提起しているところ、第一審では両請求を選択的に併合したため貸金請求のみが認容され、原審ではその併合の態様を変更して(記録上これに対して上告人らはなんら異議を述べた形跡がない。)、手形金支払を第一次的請求、貸金返還を予備的請求とすることに改めたため手形金支払請求のみが認容されたものであることは、いずれも、判文上明らかである。されば、第一審と原審とでは、現実になされた審判の対象を異にし、原審では手形金支払請求につき実質上第一審としての裁判をなしているのであるから、所論原判示は正当というべきである。いわゆる請求の予備的併合においては、第一次請求が認容されることを解除条件として予め予備的請求をも申し立てるものであるから、原審で右のように第一次的請求が認容された以上、予備的請求たる貸金返還請求については裁判を要しないものとなり、その場合には、貸金返還請求についてなされた第一審判決は当然に失効するものと解するを相当とする。されば、原判決において第一審判決の取消をしなかつたからといつて、所論違法があるとすることはできない。論旨は採用できない。

同第二点乃至第五点について。<省略>

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官柏原語六 裁判官石坂修一 横田正俊 田中二郎)

上告人の上告理由

第一点 原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違背がある。

原判決は「第一審判決の貸金請求について、上告人等に対して連帯支払義務を認定したのに対し、控訴審において被上告人の請求原因の訂正申立を容れて、これを約束手形金債務を認定し、上告人等に対し各自支払義務を認定」した。

右のように控訴裁判所が第一審判決と異る新たな判断の下に判決をするには第一審判決を取消した上で改めて新たなる理由に基づいた判決をなすべきものである。

然るに原審は右のように第一審を取消すことなく漫然と上告人等に対して上告状記載の如く約束手形金一八二、〇〇〇円をそれぞれ支払うべき旨の給付判決をしたのは、明らかなる法令違背と謂わなければならない。

第二点乃至第五点について<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例